研究概要 |
本研究はAl基準結晶・近似結晶の熱電能を80-400Kの温度領域で測定し、熱電特性の優れた準結晶・近似結晶を探索することにより従来の熱電素子に代わる新しい熱電素子開発の指針を確立することを目的とした。 平成10年度には、熱電能測定装置を本予算で購入し、その立ち上げを行なうとともにすでに作製経験がある準結晶としてAl-Mg-Pd,Al-Mg-Znを選び、これらの試料について熱電能すなわちゼーベック係数の温度依存性を80-400Kの温度範囲で測定した。平成11年度にはさらにAl-Cu-Fe,Al-Cu-Fe-Si,Al-Pd-Mn系についてそのゼーベック係数を測定した。Al-Cu-Fe系においてはFeの濃度をわずかに変化させるとゼーベック係数とホール係数の値が正から負へ符号反転することを見出した。これより電子系からホール系へ電子状態が移ることがわかった。また、Al-Pd-Mn準結晶は単準結晶でありそのゼーベック係数は80μV/Kを記録した。
|