本研究補助金により半導体X線検出器とその計測制御に使用するためのコンピューターおよび関連するエレクトロニクス、真空ポンプなどを購入した。また本科学計測研究所機械工場でチェンバーを製作し、非弾性X線散乱スペクトルを測定するための装置一式を整えた。現在実験室において既設の回転対陰極型X線発生装置(リガクRU-200)に手持ちの位置敏感比例計数管を流用してとりつけ、クロム、コバルトや鉄の特性X線を利用して調整作業中であるが、それらの自然幅(約3eV)以上の分解能を得ている。計算からは更に良い(leV以内)の分解能が得られているはずであるが、現在実験室においてはそれを確かめる術が無い。 来年度は専有の位置敏感型比例X線計数管を購入して今年度製作した分光器に取りつけ、分光器・検出器・制御解析装置一式を完成させ、つくば高エネルギー加速器研究機構物質構造研究所フォトンファクトリーもしくは米国ブルックヘブン国立研究所NSLSに持ち込んで所期の性能がでることを確かめた後、水をはじめアルコール、ベンゼンなど分子性液体の非弾性X線散乱スペクトルを測定し、真空紫外-軟X線領域の吸収スペクートルに対座する光学定数を得る予定である。
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