研究課題/領域番号 |
10554031
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山内 淳 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (10027071)
|
研究分担者 |
水田 幸男 日本電子(株), 分析機技術本部, 主任研究員
藤井 金苗 日本電子データム(株), 分析機器本部, 部長
田村 類 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (60207256)
|
キーワード | パルスENDOR / パルスESR / 二重共鳴 / キャビティ / ラジカル |
研究概要 |
本研究課題における科学研究の最終年度にあたりこれまで2年間にわたる研究成果を検討し、CW-ENDORをパルス化するTMモードキャビティ方式とパルスESRをENDOR化するTEモードキャビティ方式の最終結論をえることに努めた。両方式はそれぞれに特色があり、それらの特徴を明らかにし結論づけることが重要である。 CW-ENDORをパルス化するTMモードキャビティ方式においては研究費の関係で新しいキャビティを製作し、実験することはできなかったが、方向づけは確立することができた。すなわち、もともとラジオ波照射には問題がないので強いパルスマイクロ波があたり、キャビティのQ値を落としてリンギングを抑えればよい。従って、キャビティサイズを半減してマイクロ波密度を高めればよいとの結論に達した。この場合検討してみると定在波の立ち方に自由度が生じる可能性があり、マイクロ波モードが回転するおそれがあるが、実験的にキャビティを製作して試すことができなっかた。しかし、この方式はENDOR効果が著しく次に述べるTEモードキャビティ方式と比べて有利な点であると結論されるので、今後のさらなる検討が必要と思われる。 TEモードキャビティ方式は強いマイクロ波を特徴とし、いかに強いラジオ波をかけるかが鍵ととなった。前年度Zコイル型挿入コイルとしたが、今年度は同じTEモードではあるが、ラジオ波が試料と同じ方向にかかる新しいキャビティを提案・設計した。これでは状料のまわりにラジオ波コイルを、マイクロ波の強度を犠牲にしつついくらでもまくことができるので、ENDOR効果は改良される。もうひとつの指摘された問題点はスペクトルの分解能である。これについてはラジオ波パルスの幅を長くとる必要があるとの結論に達し、パルス系列を制御するソフトを手直ししなければららない。 最終的にはCW-ENDORスペクトルと同じ微分型のスペクトルをパルスエコー応答としてえることができ、提言した感度の改良を含めて、研究の目的としたパルスENDOR分光法の確立については十分成果があった。応用という点では3年間の期間は短かった。
|