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水車形幾何構造をもつロジウム複核錯体における金属原子間結合の電子の「柔らかい」電子構造を利用した高電導性物質の開発を目指し研究を進め、以下の成果を得た。1.カルボン酸架橋ロジウ複核錯体とクロロシランとの反応により、クロライド架橋ロジウム四核錯体を合成した。この一連の錯体の骨格は従来知られてない新しいものである。これを原料として利用する混合芳香族架橋配位子をもつ新しいタイプの錯体の合成法を開発した。2.金属原子間結合と芳香族配位子の間のδ・π相互作用による電子非局在化を定量的に評価し、それが化学的・物理的に充分意味のある大きさであることを示した。3.ロジウム複核錯体カチオンラジカル塩結晶における芳香族配位子の分子間πスタックによりもたらされるラジカル分子間の電子的相互作用を分光学的ならびに磁気化学的に評価し、更に相互作用のスタック構造依存性を明らかにした。4.カチオンラジカル塩結晶と相応する中性錯体結晶の機械的混合が、カチオンラジカル塩に対する電子ドープをもたらし、電気伝導度の著しい増加をもたらすことをことを新たに見出した。また、この電気伝導度増加が単なる界面現象ではないことが示された。すなわち、ドープに伴い混合物内全ての不対電子が結晶粒内ならびに結晶粒間速い速度で移動し始めるため、電気伝導度増大がもたらされることを示した。5.また、パラジウム錯体触媒によるオレフィン類のシアノ化反応を開発し、その反応機構を提案した。
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