研究課題/領域番号 |
10554043
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村田 道雄 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40183652)
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研究分担者 |
内海 博明 日本電子応用研究センター, 研究員
橘 和夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70142081)
松森 信明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50314357)
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キーワード | NMR / スピン結合定数 / 立体配置 / 立体配座 / 鎖状構造 |
研究概要 |
天然有機分子の構造決定において、NOEなどによって直接的に立体配置を決定できる場合もあるが、非環状部分については一義的に決まらないことが多い。われわれは、炭素-水素のスピン結合定数を用いた立体配置決定法(J-based configuration analysis、略してJCA法)を考案し、複雑な構造を有する天然物に適用してきた。本年度は、JCA法の実践として、抗生物質であるハーボキシジエンに適用した。この化合物は基本的には鎖状構造からなり、後半部分にオキシラン環と鎖状の不斉炭素4個(二つのメチル基、ヒドロキシル基とメトキシル基各1つ)を有する化合物である。われわれの方法を適応した結果、分解誘導反応を行うことなく大部分の立体配置の決定に成功した。この構造は、独立に分解反応などを主体として決定されたものと一致していた。また、この方法をベンゼン環上の置換基の回転配座を解析するために応用したところ、立体障害を受け平面性を失った化合物に関して、HETLOC法とPS-HMBC法を併用することによって、ベンジル位の水素とオルト炭素の間の二面角を求めることに成功し、四級炭素を介した場合にも良好な結果を得ることができた。本年度の研究の結果、適応例を集積することがき、JCA法の適用範囲をさらに広げることができた。
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