研究概要 |
1)巨視的異方性を測定により消去し、artefactのない真のCDスペクトルが得られる固体専用CD測定装置の開発を続けて行った。ベースとなる市販CD分光計が共同開発を行っている会社の方針でJ-720からJ-820に変わったため、artefactのできるだけ入らないよう電子回路のチェックからやり直した。残留ひずみのないPEM、偏光特性のないフォトマルの選別を行った。さらに精密型Z軸回転ステージのPCによるコントロールができるようにソフトウェアーを作成している。またマグネットを利用した固体及び液体試料ホルダーを新しく考案し、作成した。 2)あまり大きくない単結晶のCD測定のために集光レンズをもちいることとし、現在作成中の固体専用CD分光計のアタッチメントとして、最適焦点距離の検討と微調整可能なホルダーなどを設計・作成した。さらに集光レンズの品質が重要なことも実験からあきらかとなった。 3)PVA-Congo redフィルムのLD,LD',LB,LB'を測定し、真のCDを得る方法の検討をつづけた。この際に、測定方法の工夫により、真のCDを簡単に得られる場合がある可能性を発見した。 4)試料面では、光学活性となる原因が分子にはなく固体中での配列によるものを選び、その固体状態でのCD測定の検討を行った。大きな単結晶調整も試みた。固体中での有機分子が密な相互作用をしする新しい系を確立したが、まだラセミ体の場合にのみ複合体の生成に成功しており、今後キラルな分子へ展開の予定である。
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