研究概要 |
高速時間分解反応画像解析装置は、分光画像の高速時間分解に必要な光学系や検出器の最適化を考慮して設計した。光源-高速フィルタ回転器-試料セル-顕微鏡-CCD検出器-制御・解析コンピュータという基本設計を行い、試運転を試みた。光源には150Wのキセノンランプ、紫外線励起による生物発光を観察するための150Wの水銀キセノンランプを用いた。高速フィルタ回転器単体のフィルタ切換最高スピードは150msであった。試料セルにはできる限り均一に光が照明されるように光学系を設計した。 顕微鏡は、実体顕微鏡および生物発光を観測するための落射顕微鏡を光源導入部などに改良を加えて使用した。CCDは512×512のピクセルサイズをもつ科学計測用の高感度タイプを、冷却機構を付加して、顕微鏡にCマウント方式で取り付けられるようにした。高速時間分解画像計測のため2×2のビニング動作を行い、さらなる200ms/frameの時間分解能を実現した。解析プログラムとしては、試料の濃度を定量するためにreference画像に対する試料画像の対数演算を行える機能や、任意の2点間のラインプロファイルの時間変化をプロットしてパターンの変化速度を計算する機能などを加えた。 非線形化学反応パターンの観測を行い、最高時間分解能200ms/frameで試料のODが0.005異なれば明確にパターンを認識がきることが分かった。非線形反応の代表的な系として知られるBelousov-Zhabotinsky反応の化学波の空間伝播について、開発した装置を用いて調べた。触媒として用いたFe(phen)^<2+>_3,Ru(bpy)^<2+>_3の薄層溶液中での濃度と吸光度との関係は,良い直線性を有し,定量的な測定が可能なことが確かめられた。この定量性を基本にして,薄層溶液中のBZ反応の化学波の伝播の様子を調べた。又、発光細菌のコロニーの発光状態についても観測が可能であることが分かった。
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