研究概要 |
研究分担者の合成した光学活性界面活性剤の提供を受け,それらをミセル動電クロマトグラフィー(MEKC)の擬似固定相として用いて光学異性体の分離に関する研究を開始した。研究分担者である京都工芸繊維大学の老田からは,酒石酸誘導体である2,3-ジドデシルオキシ-1,4-ブチレンジナトリウム塩,同二トリメチルアンモニウム塩,硫酸2,3-ビス-2-オキサテトラドデシルオキシ-1,4-ブチレンジナトリウム塩,及びアルキルグルコシド誘導体である1-ドデシルD-グルコピラノシル6-硫酸ナトリウム塩を,同大阪市立工研の中村からはグルコース誘導体である1-ヘキシルD-グルコピラノシド6-硫酸ナトリウム塩の提供を受け,これら界面活性剤ミセルを擬似固定相として用い,アミノ酸誘導体,種々の光学活性薬物のMEKCによる分離を試みた。酒石酸誘導体の中では,2,3-ジドデシルオキシ-1,4-ブチレンニトリメチルアンモニウム塩が優れた分離能を示し,数種のPTH-アミノ酸,抗マラリア剤であるプリマキン,気管支拡張薬であるプロカテノール,利尿薬であるインダパミドのエナンチオマー分離ができた。分離条件の最適化には泳動液のpH,有機溶媒の種類と添加量について検討した。アルキルグルコシド誘導体はどちらもほぼ同様の結果を示し,数種のPTH-アミノ酸の分離が可能であった。研究分担者である老田と中村が,他に新しいタイプの光学活性界面活性剤を合成中であり,それらが提供されれば,さらに検討を継続する予定である。
|