微細藻類を利用した二酸化炭素固定化システム作製をめざして、昨年度ベルトコンベアー式の光合成装置を作製した。本年度はそのベルトに適した素材と微細藻類種を選定した。種々の布やナイロンメッシュで比較した結果、単細胞性のクロレラではろ過されてしまい、培養液との分離は不十分であった。そこで、糸状性ラン藻スピルリナを用いたところ、綿100%の綿ブロードと綿35%テトロン65%ブロードがろ過効率や保水性がよく、安価で大量に入手しやすいことが明かとなった。そこで、綿ブロードをベルト素材とした。スピルリナの20リットルの液体培養を行い、そこからベルト上で光合成を行わせるところまでの自動化が完成した。次に、ベルト上で乾燥したスピルリナの回収を試みた。ガラス器具洗浄用のブラシを回転させた程度では、十分な回収はできず、歯ブラシでこするとよいことから、堅いブラシで強くこすることが必要に思われる。しかし、その時布地もわずかにかきとることから、布にのせる細胞の量を多い目にするとよいことも判明した。しかし、この場合は布上での受光効率が細胞あたりでは低くなるという問題点が残された。さらに、昨年度購入した携帯用光合成測定装置を用いて、布上でのスピルリナの光合成活性を測定した。クズの葉の光合成活性は容易に測定できたが、布又はろ紙上での微細藻類の光合成活性は、水の蒸発による計算値の誤差が問題となることがわかった。そこで、布の水分含量を減らして水分の蒸発量を抑えてから測定したところ、1gCO_2・m^<-2>・h^<-1>以上の高い光合成活性が測定された。以上の結果から、布上での乾燥防止と細胞回収法の改善が今後の課題として残された。
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