研究課題/領域番号 |
10555002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
深津 晋 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60199164)
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研究分担者 |
川本 清 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (40302822)
谷 由加里 東京大学, ファインセラミクスセンター, 研究員
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キーワード | エピ性Si / SiO_2拡張構造 / SiGe仮想基板層 / 低速イオン注入複合分子線エピタキシ法 / SiGe / SiO_2量子構造 / Ge組成上限 / 表面光吸収バンド |
研究概要 |
本年度では、昨年度に開発した分子線エピタキシー(MBE)と低エネルギー酸素イオン注入(LOI)を融合した低速イオン注入複合分子線エピタキシ法(LOIMBE)を活用し、量子井戸、量子細線、量子ドットほか機能性エピ性Si/SiO_2拡張構造の作製法の確立を目指した。 特にSiGe混晶をベースとするSiGe/SiO_2量子構造の達成に焦点を絞り、SiGe量子構造の作製を行うとともにSiGeOIの形成メカニズムを詳細に調べた。SiGe-OI構造は、エレクトロニクス分野における低消費電力、高速化の要請に応える基板分離構造のみならず、SiGe仮想基板層上に引っ張り歪みSi層をエピタキシャル成長するのみで高移動度トランジスタを達成できる究極の再成長基板である。系統的な実験から、Sige混晶の初期歪みの有無や歪みの緩和度合いに拘わらずSiGe-OIが達成可能なこと、またスタートするSiGe混晶のGe組成には明確な上限値(x<0.3)が存在することを明らかにした。より大きなx値では、酸化とGeOの脱離に起因する浸食が起こり、x>0.8ではSiGeが完全にエッチオフされることがわかった。一方、酸素原子の再分布のシミュレーションからはほぼx=0.3の上限組成が存在することが明確になった。またx<0.3のSiGe-OIでは、Si-OI(SOI)構造に比して容易に極薄仮想基板層(<8nm)が得られることも明らかになった。 また、これらSiGe-OI構造においてSiGe混晶の酸化に起因する特異な光吸収バンドを見出した。この光吸収バンドに関して吸収が表面のごく近傍で生じることを、逐次酸化による吸収バンドの発生の観測、ラテラル配置のショットキー電極をもつMSM型検出器によるバルク光電流の消失、SiGe/Si量子井戸における蛍光励起測定などから検証した。
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