研究課題/領域番号 |
10555008
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
富取 正彦 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (10188790)
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研究分担者 |
新井 豊子 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (20250235)
大塚 信雄 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (80111649)
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キーワード | 電界電子放射走査型プローブ顕微鏡 / 走査型トンネル顕微鏡 / ビルドアップ探針 / 電界放射 / 電子エネルギー分析 |
研究概要 |
本研究の目的は、表面の原子配列構造、電子状態、組成を原子スケールの高分解能で解析できる電界電子放射走査型プローブ顕微鏡を開発することである。結晶成長・触媒反応で特異な機能を発現するヘテロ構造表面を試料とし、本顕微鏡の表面組成解析能力を活用してヘテロ表面の組成分布を調べ、ナノスケールで繰り広げられる複雑な表面現象の解明をめざしている。 本年度は、高電界を印加しながら加熱して先鋭化したビルドアップ探針から電界放射される電子を、探針に近接・対向した試料表面(Si-Ge)に照射し、その照射領域から後方散乱される電子を検出・エネルギー分析した。ビルドアップ探針は[111]方位のWロッドから作成したものである。また、試料は清浄なSi(111)7×7面上に基板温度400℃でGeを0.2bilayer蒸着したものである。成長したGeが5×5再配列構造を示していること、ステップ端や下地7×7のドメイン境界にGe島が優先的に成長することが本装置のSTM機能を利用して観察できた。その観察後、探針を僅かに引き離し電界放射源として活用した後方散乱電子のエネルギー分析を行うことにより、照射電子と同じエネルギーをもつ弾性散乱電子を検出し、さらにプラズモン励起エネルギー損失過程による4本のピークを観察した。その損失エネルギーはSi、Geとも約16eVの倍数である。また、低エネルギーにSi・Geのオージェピークも観察した。現在、空間分解能を確認する実験を遂行している。さらに、探針の印加電圧を下げ、探針と試料間に電界放射電子による電子定在波を励起し、その微分コンダクタンス-印加電圧特性から、Si・Ge原子表面に依存したピーク差変化も観察した。
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