研究概要 |
本研究は、キャビテーション噴流を用いた機械の構成部品の残留応力改善や耐食性向上の実用化を目指して、キャビテーション噴流式表面改質装置の試作、および最適加工条件の確立を目的とする。本年度は,表面改質におけるノズル口径の寸法効果解明のために以下の研究を実施した。 1.キャビテーション噴流式表面改質装置の試作 設備備品費に計上のプランジャーポンプを購入して,キャビテーション噴流を噴出するノズルを大口径化したキャビテーション噴流式表面改質装置を試作した。ノズル形状は,表面改質効果の再現性を良くするために,ノズルの口径ならびに流量係数を等しくすることが重要であることが判明し,したがってノズル形状はノズルスロート穴を精度よく空けたノズルプレートを挟み込む形状が最適であることが明らかになった。2.キャビテーション衝撃力における寸法効果の解明 上記装置を使用して,研究代表者らが開発したPVDFフィルムを用いたキャビテーション衝撃力測定センサにより0.4mm〜1.9mmまでのノズル口径からのキャビテーション噴流の加工能力を測定した。その結果,ノズル口径を約5倍にすると,衝撃力の発生頻度が増大するばかりでなく,最大衝撃力も5倍以上増大することが判明した。また,設備備品費に計上の溶存酸素計を用いて,試料水中の溶存酸素量と衝撃カの関係を計測した結果,溶存酸素量を減らすと衝撃力が増大することを明らかにした。 3.残留応力改善・耐食性向上における寸法効果の解明 キャビテーション衝撃力を増大した上記装置により,金型等に用いられる硬い材料にもキャビテーション噴流により圧縮残留応力を導入できることを実証した。
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