| 研究概要 |
本研究は,キャビテーション噴流を用いた機械の構成部品の残留応力改善や耐食性向上の実用化を目指して,キャビテーション噴流式表面改質装置の試作,および最適加工条件の確立を目的とする。本年度は,表面改質における最適加工速度の解明と表面改質における最適作動流体の解明のために以下の研究を実施した。
1.加工硬化量による最適加工速度の簡易評価 平成10年度に試作したキャビテーション噴流式表面改質装置において,任意の速度で試験片を加工できるように試験片ホルダを改良して,種々の加工速度で試験片を加工し,ロックウェル硬さ試験機を用いて,キャビテーション噴流にさらす時間と加工硬化量の関係から,加工硬化量が飽和する時間を最適加工速度として,種々の材料において表面改質における最適加工速度を簡易評価できることを明らかにした。
2.残留応力改善における最適加工速度の解明 上記装置を使用して,種々の速度およびキャビテーション噴流の噴射時間で加工した試験片の残留応力をX線回折装置により測定し,加工速度あるいは噴射時間と残留応力の関係から種々の材料の最適加工速度を明らかにした。また微小硬さと残留応力の関係を明らかにした。
3.耐食性向上における最適加工速度の解明 キャビテーション噴流を噴射した時間と噴射後の材料表面の腐食電位の関係から,炭素鋼S45Cの耐食性の向上における最適加工速度を明らかにした。
4.表面改質における最適作動流体の解明 キャビテーション噴流を噴射中の被加工面の電位と作動流体のpHの関係から,プルベイ線図より,キャビテーション噴流式表面改質装置の最適作動流体を明らかにした。
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