研究概要 |
ステレオ破面写真の対応点探索に対して遺伝アルゴリズムを用いた3次元形状再構築システムを開発して,その有用性・実用性を確認した。今年度は走査電子顕微鏡のデジタル画像フォーマットであるTIFFフォーマットを数値データに変換するソフトエェアを用いて,高分解能電界放射型走査電子顕微鏡破面画像を直接コンピュータに取り込み,へき開破面,粒界割れ破面,粒内疲労破面,ディンプル破面,およびストライエーション破面などの種々の破面に対して本開発システムを適用して3次元形状を再構築した。その結果,いずれの破面においても3次元形状を精度良く再構築することが可能であったこと,また,1組のステレオ破面の対応点探索に対して従来より用いられてきた粗・精探索手法,すなわち対応点と見なしうる点をまず大まかに探し(粗探索),その後その周囲で最も対応する点を探す(精探索)方法にくらべて,本開発システムでは局所解にとらわれたミスマッチングを大幅に少なくすることができ,しかも計算速度を大幅に上昇できることを明らかにした。さらに本手法により従来手法では高々40×40点ほどにとどまっていた3次元形状再構築点を120×120を超える再構築点を求めることが可能であることを示し,本開発システムの有用性を示した。さらに,本システムをSUS316NG鋼およびSGV410鋼の実験室空中疲労破面に適用し,応力拡大係数と破面あらさの関係について検討した。この結果,SUS316NG鋼の破面あらさと応力拡大係数の間には明瞭な関係は見られなかったが,SGV410鋼の場合は応力拡大係数幅が大きいほど破面あらさが大きくなることを示し,本システムが十分に実用性を有することを示した。
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