研究概要 |
本研究の目的は,研究代表者らが開発した均質・等方材料に対する直流電気ポテンシャルCT法を拡張して,材料の非均質性あるいは非等方性を考慮した,非均質・非等方電気ポテンシャルCT欠陥同定法を構築することにある.すなわち,まず非均質材料として異種接合材における界面あるいはその近傍の欠陥を同定する手法を構築する.次に非等方材料として直交異方性材料に対する電気ポテンシャルCT法を提案する.さらに,ピエゾ材料を組み込んだ非均質材料を作成し,外部電流を加えることなくいわば能動的な電気ポテンシャル応答を積極的に取り出す,新しい欠陥モニタ法を開発する. 平成10年度に得られた主な研究成果は,以下の通りである. 1. ピエゾ材料を導入し,力学的負荷をかけたときに表面上に現れる,能動的な電気ポテンシャル応答より,き裂の位置と大きさを推定する数値シミュレーションを行い,同定が原理的に可能であることを示した. 2. 3次元異種接合体の界面に存在するき裂を同定するため,2次元走査解析と3次元解析からなる階層的解析手法を適用した.数値シミュレーションの結果,表面き裂および内部き裂の同定が可能であることを明らかにした,3次元界面表面き裂を有する異種接合体について電気ポテンシャル測定を行い,その結果をもとにき裂同定を行い,手法の適用性を実験的に示した. 3. 導電率の異方性が大きい炭素繊維積層複合材料について,界面の剥離を表面上の電気ポテンシャル分布より推定する数値シミュレーションを行った.導電率の異方性を利用することにより,等方性材料よりも精度よくき裂が同定できることを明らかにした.
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