研究分担者 |
人見 宣輝 高エネルギー加速器研究機構, 共通研究施設, 教授 (30300669)
張 世宙 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30282099)
高 偉 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70270816)
東 保男 高エネルギー加速器研究機構, 共通研究施設, 助手 (70208742)
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研究概要 |
現在、長さが10kmに及ぶ次世代の直線加速器の開発計画が進んでいる.この加速器本体は超精密加工及び拡散接合技術で作られる長さが約1.5mの加速管を連結して構築することになる.加速器本体の構築という観点からは,外見からは円筒に見える10kmの長さの粒子が走るトンネルの真直度が間題となる.このため,高い精度で長尺円筒の真直度を測定する技術が要求されている.本研究では,5mの長尺円筒の超精密測定シスチムを実現し,この次世代直線加速器構築のための真直度測定システムの設計におけるエラーバジェット用の基礎データを得ることを目的に研究を進めた.本年度はまず前年度の結果を踏まえて,長尺円筒の真直度測定に最も有効な3点法において、複数のプローブのゼロ点誤差が最大な誤差要因であることを明らかにした。このゼロ点誤差を基準原器を用いずに、円筒試料の形状測定データのみから決定する新しい手法を提案し、理論的にその有効性を示した。また、提案のゼロ点調整法の有効性を確認するため、約1mの円筒試料を用いた基礎実験を行った。実験結果から、提案の有効性が確認された。さらに、単独のプローブの線形誤差及び感度の違いが本手法の精度に大きな影響を与えることも明らかにし、自律校正などの手法を用いてこれらの誤差要因の補正を行うことでゼロ点調整精度が向上することを確認した。また、本手法を前年度構築した5m測定システムに適用し、長さ1.5m、直径60mm模擬加速管を3本つないだコンポーネントの真直度を測定した。その結果、プローブの安定性で決まる限界まで3点法プローブユニットのゼロ点調整誤差を自律的に調整でき、長尺円筒の高精度真直度測定に成功した。
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