研究概要 |
平成10年度から11年度にかけて,地震時にコンクリート・アンカーボルトがコンクリート床などから抜けるのを防止するため,アンカーボルト用の下穴形状を,深くなるにつれて直径が大きくなる,逆テーパ穴加工を行う工具を開発することを目的に研究を行った.その結果,以下のことが分かった.1.逆テーパ穴あけ工具の切れ刃として,(1)ダイヤモンドを蒸着した工具,(2)cBNを蒸着した工具,(3)超硬合金で作製した工具,を試作したが,加工時の発熱やと龍の脱落などの影響で,ダイヤモンドやcBNを蒸着した工具では穴あけ加工を行えなかった.2.逆テーパ穴あけ工具の穴あけ原理の異なる以下の2つの工具を開発した.(1)偏心ドリル;最初は下穴中心に対して逆テーパ穴あけ工具の回転中心がずれており,これらの中心軸が一致しようとする力でした穴側面に逆テーパ穴を加工する.(2)「く」の字型ドリル;ドリルが僅かに曲がっており,曲がり部をてこの支点としてドリルを起こしながら加工して逆テーパ穴を加工する.その結果,偏心ドリルでは大きな振動もなく逆テーパ穴を開けることができたが,加工された逆テーパ穴の角度はドリルのテーパ角度より小さくなった.「く」の字型ドリルで加工したところ,ドリルが曲がっているために加工開始時に大きな振動があり,足場の悪い場所での作業は危険であると思われる.しかし,加工された逆テーパ穴の角度はドリルのテーパ角度より少し小さくなったがほぼ設計通りの逆テーパ穴を加工することができた.3.引き抜き耐力を測定した結果,約10度の逆テーパ穴に同じ角度のコーンを付けたアンカーを使用したところ,通常の約2.8倍の引き抜き耐力となった.また,テーパ長さが長い方が引き抜き耐力が大きくなった.
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