研究概要 |
本研究では,ホットプレスより短時間で成形可能なプラズマ焼結装置を用いて,高強度・高機能の傾斜機能構造金型の製造のための焼結体成形プロセスの確立を目的として,Cu-AlおよびTi-Alの異種金属素粉末を混合して放電プラズマ反応焼結を行った.その結果,つぎのような結論が得られた. 1.傾斜機能構造金型の製造は,(a)金属間化合物を形成する異種金属素粉末のメカニカルアロイング,(b)外周拘束リング中で混合素粉末を最適な傾斜混合率となるように圧密成形,(c)放電プラズマ焼結装置内で加圧反応焼結,(d)最終仕上げ研磨. 2.SPSによるCu-33at%Al素粉末の加圧反応焼結において,面圧30-70MPa,温度800℃,時間10minの条件で,相対密度100%,硬さHV=757,圧縮破壊応力σ=1.23GPaが得られ,金属間化合物Cu_9-Al_4およびCuAlが形成されることが確認された. 3.SPSによるTi-50at&Al素粉末の加圧反応焼結において,面圧30-70MPa,温度850℃の条件で,相対密度100%,硬さHV=600,圧縮破壊応力σ=2.5GPaが得られ,金属間化合物TiAlおよびTi_3Alが形成されることが確認された. 4.Ti-Al素粉末の焼結において,焼結温度850℃までは加圧面圧の増加に伴い相対密度と硬さ,圧縮破壊強度ともに増加するが,焼結温度900℃以上では面圧pより焼結温度Tが支配的となった. 5.焼結体を直径14mmで,高さ20mmまで厚くした場合でも,常温で圧密面圧をp=400MPa以上とし,焼結温度900℃,面圧p=30MPaでSPSによる焼結を行うことにより,相対密度100%,硬さHV=400の焼結体が得られることが明らかになった. 6.金型を想定した段付き円柱体の成形を試みた結果,常温圧密した素材を重ねて焼結することにより,十分な相対密度が得られたが,硬さは必ずしも十分ではないことが明らかになった. 7.黒鉛型の組合わせ形式や,加圧反応焼結条件について検討し,金型構造の基本となる円筒型の加圧反応焼結により,金属間化合物製品を成形することに成功した.
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