研究概要 |
本年度は試作されたツイストローラ摩擦駆動機構を用いた超精密工作機械の加工能力を高め,種々の立体形状の加工を行った.昨年度においては自作ソフトによりこの工作機械の2軸を制御することで数値制御による旋削を行っていたが,制御軸数が少なくまた制御サイクルが遅いために加工能力は限られていた.そこで市販のNC装置を購入して組み合わせることで,より完全な数値制御工作機械とすることをめざした.その結果試作機は,制御軸数が3軸で,各テーブルに備えられたレーザスケールを用いたフルクローズド制御の数値制御超精密工作機械となった.ただし,制御分解能はスケールの分解能に制限されるために10nmとした. 次にこの3軸数値制御超精密工作機械を用いて切削実験を行った.アルミニウムを素材としてまず,XおよびZの2軸を同時制御することで平面,球面などをダイヤモンド工具により切削した.平面の切削にも2軸制御を行ったのは,X軸とZ軸との直角度が完全ではないことを補正するためである.切削された面の形状精度は0.1〜0.2μm,表面あらさは7〜12nm程度であった。つぎに微少立体のエンドミル加工を行った.制御軸はX,Y,Zの3軸で,工具には超硬ボールエンドミルなどを用いた.加工形状は大きさが0.1〜0.5mm程度の円錐,四角錐,そして歯車形状などである.工具が超硬であるため形状精度は10μm程度,表面あらさは2μm程度であるが,微細加工の可能性を探ることができた. 以上により,本年度の研究計画はほぼ達成されたといえる.
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