研究概要 |
本研究では走行する細線ワイヤを工具として、その走行経路の途中でワイヤ表面に表面改質加工や研削加工なとを可能にする機能を付与し,これによって同一機械上での高精度複合加工の実現を目的としている。 平成11年度は以下の結果を得た。 1.試作ワイヤ走行系の改良 平成10年度に試作したワイヤ走行系に対し、全自動の機上複合加工を目指した改良を実施した。すなわち自動走行ワイヤにスラリを塗布するプーリを設け、また新たに設けた2つのガイドピン間でワイヤカット形状加工を行う構造とした。この構造はワイヤが加工部位において水平方向に走行するため重力の影響が心配されたが測定の結果問題がないことが分かった。さらに研削加工実行するために、加工物を高速回転するマイクログラインダを搭載した。 2.塗布スラリによる表面改質放電加工の実施 TiCおよびグラファイトの粉末混合物をグリセリンに混ぜてスラリを作り、上記プーリ部において走行する黄銅ワイヤに塗布する。この部位が加工物近傍を通過する位置で放電を発生せしめ、予め形状加工を行った加工物表面(炭素鋼)の改質加工を実施した。 表面硬度は2000Hv程度に達していることを確認した。 3.走行ワイヤによる機上研削加工の実施 当初は放電表面改質を実施した黄銅ワイヤによる研削加工を試みたが,充分な聴力を売ることが困難であるため、直径0.1mmのスチールワイヤを用いることとした。走行経路中においてTi圧粉体電極による油中放電改質を実施し,比較的長い休止時間をとるならばワイヤ表面にTiCの間欠被覆が可能となる。これによる機上研削を試みた結果、圧力転写加工および運動転写加工の可能性を確認した。 4.走行ワイヤによる機上形状計測の実施 本研究は加工物に対して複数の加工を実施することが目的であるから,各加工工程における形状の追跡が必要となる。そこで走行ワイヤ自体をプローブに見たて、接触検知方式による形状計測を試みた。
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