研究概要 |
本研究の目的は,脱脂した米ぬかにフェノール樹脂を混ぜ成形・加工した後,無酸素雰囲気中で炭化焼成するという方法によって,新しい硬質多孔性炭素材料「RBセラミックス」を開発し,基本的トライボロジー特性を体系的に解明することにより,RBセラミックスの摺動部材としての応用の可能性を明らかにすることである. 平成10年度は,大気中無潤滑,水中,油含浸の環境下,幅広い荷重・速度条件下でRBセラミックスの摩擦実験を行い,摩擦係数,比摩耗量等のトライボロジー特性を体系的に解明した. 得られた主な結果は,以下の通りである. (1) RBセラミックスの密度は,いずれの製造条件においても,1.0〜1.3g/cm^3と極めて低く,工業材料として画期的な軽量材料である. (2) 焼成温度800℃以上のRBセラミックスは,平均ビッカース硬さが,300〜600kgf/mm^2と,焼入鋼並の高い値を示す. (3) 焼成温度500℃以上のRBセラミックスは,大気中無潤滑,水中,油含浸のいづれの環境下においても,摩擦係数0.1〜0.15の極めて低い良好な値を示す. (4) 焼成温度800℃以上のRBセラミックスは,幅広い摩擦条件下で,比摩耗量10^<-8>mm^2/N以下の極めて低い値を示し,耐摩耗性に優れている.
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