研究概要 |
いわゆるマルチメディア化により,通常の文書でも文字以外に画像を扱うことが多くなっているが,画像データを紙等に高精度に印刷することは難しい。インクジェットプリンター等,安価なプリンターはあるが,印字スピードを問題にする上ではレーザープリンター遠く及ばない。 レーザープリンターの印字速度と印字品質を左右するものは,レーザー光を感光ドラムの母線上に走査させるためのポリゴンミラーを備えたレーザースキャナー(ドライプロセスセッターと呼ばれる)である。すなわち,回転速度3万〜5万rpmでもポリゴンミラーが超高精度に回転することを保証することが必要である。申請者らのグループは、シュリンクフィッタという新しい機械要素を用いて、光学部品の接合に締りばめを適用するという従来タブーとされていた技術に挑戦した。その結果、ボリゴンミラー回転の動特性を約10倍改善した。シュリンクフィッタを用いた接合技術は限界に達しているわけではなく工夫を凝らすことで,さらに飛躍的に性能を上げることができる。本研究の目的は,10,000dpiの超高分解能を持つドライプロセスセッターを試作することである。本年度は,主に数値計算により,接合後のミラー面の変形具合や,3万回転したときのミラー面の変形具合を調べた。その結果,遠心力の影響を明らかにすることができた。従来の接合法では,接合の再現性(位置決め)が悪いために,各ミラー面に対して遠心力は均等に作用していなかったが,シュリンクフィッタを用いることで遠心力が各ミラー面に対して均等に作用することが分かった。来年度は,ジッターなどの動特性を測定して,レーザースキャナーの分解能を可能な限り上昇させていく計画である。
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