研究概要 |
直径10mm以下の高機能管内作業マイクロマシンを実現するため,印加電界によりみかけの粘度を制御可能なER(電気粘性)流体を作動流体とした,シンプルでマイクロ化が容易な流体制御システムの試作をおこなった.本年度はその高機能要素の開発および統合を試みた. (1)粒子分散系ER流体を作動流体とした直動形アクチュエータの試作:可動電極間に粒子分散系ER流体を流し,電界印加で生じた差圧により駆動する単純構造の直動形アクチュエータを提案,100×50×350mmのサイズのアクチュエータを試作し,特性実験をおこなった.その結果,供給圧力0.2MPa,印加電界強度4kV/mmにおいて,最大速度14mm/s,最大出力12Nを得た. (2)均一系ER流体を作動流体としたマイクロバルブの試作:半導体プロセスを用いたマイクロERバルブを提案,試作し,特性実験をおこなった.まず幅1.2mm,長さ5mmの溝をシリコン基板上に異方性エッチングにより形成し,スパッタにより薄膜電極を堆積したパイレックスガラスと陽極接合することで2ポートバルブを試作し,特性実験をおこなった.電極間隔(溝の深さ)を80〜150μmと変え微小化特性について検討した結果,静特性は不変であるが動特性は低下し,動特性によりマイクロ化の限界が定まることを示した.つぎに3ポートバルブを試作し,特性実験およびベローズ形マイクロアクチュエータの位置制御への応用を試み,その妥当性を示した. (3)均一系ER流体を作動流体としたマイクロ流体制御システムの試作:昨年度試作した直径9mm,高さ10mmの圧電共振形高出力圧電マイクロポンプおよび電極部直径9mm,厚さ3mmのマイクロERバルブを用い,外径4.8mm,長さ7.5mmのべローズ形マイクロアクチュエータの開ループ位置制御システムを構成し,特性実験によりその妥当性を示した.また管内作業マイクロマシンの屈曲推進機構の試作,静特性の実験的検討も試みた.
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