近年、大都市を中心にディーゼル車から排出されるNOxおよびばいじんによる大気汚染が深刻化している。ディーゼルエンジン排ガス中には、10%前後のO_2と浮遊粒子状物質(ススとタール状物質)が含まれているため通常の三元触媒ではNOx低減が困難であり、現状ではディーゼル排ガスに対して有効な排ガス浄化方法がない。このためディーゼル排ガス処理装置の開発は社会的に緊急の課題となっている。そこで、本研究では遠心流動層を用いたディーゼル排ガス中のNOxとススの同時除去装置の開発を目的として研究を行った。 本年度は、ススとNOxの反応機構および触媒作用の解明のついて実験を行った。これまでの実験からディーゼル排ガス中のススが過剰の酸素で燃焼しつつNOの還元剤として作用したと考えられる。しかし、ススのような微粒子とNOxの反応に関する研究例は少ない。そこで、固定層反応装置を用いて活性炭(60〜80mesh)に平均粒径3μmのCu-ZSN5ゼオライト触媒をまぶし、NOおよびO2を所定の濃度で流通させ、温度、NO濃度、O2濃度、触媒量および活性炭の量を変化させて、出口ガス中のO2、N2、CO、CO2、N2O濃度は高速ガスクロで、NOx濃度はNOx計で測定した。反応解析を効率よく行うために、ニューラルネットワークを利用してバーチャル反応系を構築し、バーチャル反応実験を行う手法を考え、その手法が可能であることを確認した。
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