研究概要 |
吸着冷凍サイクルまたは吸着ヒートポンプの研究が始められてからすでに20年以上が経過したが,本格的な開発が始まったのはCFCsやHCFCsの生産・使用を制限する国際的な取り決めが行われてからである。近年,ようやく閉サイクル方式の従来型吸着冷凍機またはヒートポンプは特に日本,ヨーロッパおよびアメリカでシェアを拡大し始めた。 本研究では50-70℃の低温排熱で駆動する二段型吸着冷凍機の設計および実験を行った。冷凍能力3.5kW(1RT)の実験機により,温度(温水,冷却水,冷水)および流量に関するそれぞれの運転条件での性能を計測した。冷凍機の性能は冷凍能力およびC0Pにより評価した。 冷却水温度を30℃で一定とした場合,冷却能力は温水入口温度,および冷水入口温度の上昇とともに向上する。また,最適なCOPは温水入口温度が52〜57℃の聞で得られることがわかった.二段型吸着冷凍機の大きな特徴は冷却水温度30℃に対して55℃以下の低温排熱を駆動熱源として用いることができる点である。従来,このような温度差の小さい熱源聞で動作するサイクルは技術的に困難であったが,二段型吸着サイクルの利用により可能となることが分かった。
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