1.実機予混合燃焼器用インジェクターによる燃焼試験 過濃混合気を用いる二段燃焼実機予混合燃焼器用の2種類のインジェクター(パイプ型と旋回噴流型)を用いて試験燃焼器を試作し、これらの燃焼安定性等を調べた。その結果、いずれのインジェクターでも周囲空気に旋回をかけている場合には、設計目標当量比=2付近の過濃予混合噴流火炎の安定性はよく、現有の超小型水素ガスタービンの燃焼負荷率(燃焼器の全体当量比=0.25相当)は達成できることがわかった。中でも旋回噴流型インジェクターの方が優れていた。しかし、より高負荷な燃焼(燃焼器の全体当量比=0.6相当)を達成するためには、現有の実験用空気供給装置の改良が必要で、この条件下の燃焼試験は来年度に実施する。 2.Mg系水素吸蔵合金の水素放出特性の測定 より広範囲な実験条件下でMg系水素吸蔵合金(Mg2NiとCaMg1.8Ni0.5)の水素放出特性が測定できる基礎実験装置を製作し、雰囲気温度と圧力をそれぞれ300〜380℃と0〜0.4MPaの範囲で測定を行った。その結果、いずれの合金も活性化は比較的容易であること、水素放出速度mH2はMg2Ni:mH2=a・exp(b・[H/M])およびCaMg1.8Ni0.5:mH2=a・[H/M]+bの関係式で表すことができること、ただしaとbはそれぞれの合金に固有の実験常数で、特にaはアレニウス型の関数で表すことができること、同じ雰囲気温度と圧力のもとではMg2Niの水素放出速度はCaMg1.8Ni0.5よりも最大で5倍程度速いことなどが明らかになった。 3.水素ガスタービン用排熱利用型水素供給装置の製作 水素吸蔵合金の熱伝導率や水素放出速度のデータを基に、タービンの排熱を水素放出の熱媒体として利用する排熱利用型水素供給装置(使用合金:Mg2Ni)を試作した。充填したMg2Niの質量は18.2kgであり、雰囲気温度380℃において水素流量0.4g/sで15分間水素の放出ができるように設計した。現在この装置の性能の予備的な測定を実施中であり、必要ならば改良を加えた後、本格的な性能測定を実施する予定である。
|