研究概要 |
2 自由度振動系をモデルとした,セルフパワード・アクティブ制御装置を製作した.外乱に近い系にあるエネルギを回生するデバイス(以下,エネルギ回生ダンパと呼ぶ)が振動エネルギを回生し,そのエネルギをコンデンサに蓄える.そのエネルギを使用して制振対象に近い系にあるアクチュエータがアクティブ制御を行う.エネルギ回生ダンパおよびアクチュエータはリニア直流モータによって作成した.従来の実験装置ではアクチュエータの電流を制御することができず,オンオフ式の制御しか実現ができなかった.本年度は,コンピュータによってリアルタイムに抵抗値を制御することが可能な可変抵抗器を開発し,新しい実験装置に応用することで,連続的な制御入力を実現することが可能になった.これにより,セルフパワード・アクティブ制御の性能を向上させることに成功した. 一方,エネルギ回生ダンパをコンデンサに接続さた場合には,その減衰力がストローク速度に対して非線形かつ不連続になることがわかっている.最適化制御など多くの制御理論は,線形化されたシステムを制御対象としていることから,この非線形性および不連続性の解決が重要になった.本年度の研究では,この非線形および不連続性を線形モデルに対するパラメータ誤差として考え,パラメータ誤差に対してロバスト安定性を持つ,H∞制御理論をセルフパワード・アクティブシステムに応用することによって,上記の問題を解決した.実験結果も良好なものが得られた. 制御装置の試作とその実験結果の考察を行い,「セルフパワード・アクティブ制御」の基本的な実現手法を確立した.
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