研究概要 |
本年度は,セルフパワード・アクティブ制御の性能をより厳密に検討するために,新たな実験装置を作成した.2自由度の振動系をモデルとした実験装置であり,下部質量に加振器(直流モータ)を通じて力外乱を与えるものである.また,2つの系の質量および非減衰固有振動数は一致している.上部質量と下部質量が一致する点と力外乱モデルである点が昨年度(10年度)の実験装置と異なるところである,また,各質量はリニアガイドによって1次元方向にしか動けないように固定されており,測定精度の向上を果たしている.アクチュエータとエネルギ回生ダンパには,コンデンサが接続されており,リレースイッチで回路を切り替えることにより,回生(コンデンサの充電)と消費(コンデンサからの放電)を行う.アクチュエータ出力の制御は,コンピュータによってリアルタイムに抵抗値を替えることが可能な可変抵抗器を使用して行う.セルフパワード・アクティブ制御の成立可能性は,直流モータの端子を短絡した時に出す抵抗力から求めた等価減衰係数と呼ぶモータ固有の値と,スカイフック制御のフィードバックゲイン,外乱のパワースペクトル密度から予想することが可能である.様々な条件で,セルフパワード・アクティブ制御を行ったところ,回生量が多いと予想される条件では,セルフパワード・アクティブ制御が実現でき,回生量が少ない条件では,セルフパワード・アクティブ制御が実現できないことがわかった.本年度の研究により,セルフパワード・アクティブ制御が実現可能であることを,理論と実験により示すことができた.
|