研究分担者 |
坪井 陽一 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60221420)
西原 修 京都大学, 大学院・情報学研究科, 助教授 (00218182)
本田 善久 京都大学, 大学院・工学研究科, 講師 (60181559)
安田 正志 特許機器株式会社, 技術部・部長
井上 喜雄 高知工科大学, 工学部, 教授 (50299369)
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研究概要 |
本研究では,手術顕微鏡の有害な揺れを抑制する制振装置として,ジャイロ制振装置を開発した.繊細な作業となる眼科,外科などの手術においては専用の手術顕微鏡が使われる.その際,キャリア・アームが揺れると,それに伴い視野も大きく動揺し,医師の作業性が低下する振動障害が発生する.このような対象には運動量交換による振動制御技術が相応しいと考えられるため,本研究では主としてジャイロモーメントによる振動抑制について検討した. 本年度は当初の研究計画に従い,まず,供試体を設計・製作した.実際の手術顕微鏡は専用アームに装着されて使用されるが,かなり高価であるため,本研究課題では必要な動特性を実現する供試体を組み立てた.主要部分は,全長が約1.5mの垂直3関節のアームであり,これを高さ約1mの支柱と重量115kgのベースで支える構造となっている.実物と同様に,アーム姿勢の設定により振動モード,固有振動数が多様に変化する.アーム本体は直径60mmのアルミ合金製パイプとして,固有振動数を現実的な値とするとともに,十分な強度を得ている.昨年度製作したジャイロ制振装置はこのアームの先端部分に固定した.さらに,アーム先端にはCCDカメラと拡大光学系を取り付け,手術顕微鏡視野に相当する画像が記録できるようにした.供試体を含めた装置諸元に基づいた数値シミュレーションにより,Simulinkのもとで制御用ソフトウェアを開発し,Realtime Workshop開発環境によりDPSシステムへの実装を行った.本研究により,手術顕微鏡の振動障害へのジャイロ制振機構の適用可能性が明らかになり,さらに,現実的な環境のもとで可変ゲイン制御の有効性が確認された.
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