研究概要 |
静電気力を用いた非接触搬送システムの研究として,本年度は非接触浮上を他の方式で行い,搬送力を静電気によって得るような方式の研究を行った. まず,円形の薄板ガラスを超音波で浮上させ,静電気力を用いて回転形のモータを試作し実験を行った.電極を工夫することにより表面抵抗の大きい薄板ガラスを,誘導モータと同様の原理で回転させることができた.電極は小さいだ円が多数寄り集めたものとし,その電極に3相交流を印加することによって駆動した.小さいだ円を用いたのは表面抵抗の大きいガラスに早く電荷を集めるためと,電極の数を多くして駆動力を大きくするためである.この実験装置での実験の結果,直径100mmのガラスを最高2000RPMという回転数で駆動することができた. 次に,空気を床から吹き出させることにより長方形のガラスを浮上させ,静電気力によるリニアモータを構成した.電極は直線電極,V形電極,V形構成の円電極の3つのものを作り,それぞれに3相交流を印加し,実験結果を比較検討した.その結果,加速度,最高速度,駆動の安定性などすべてにおいて,V形構成の円電極のものが最もよい結果となることがわかった. これまでの実験は片側に電極を配置した形であったが,駆動力を大きくするため円形薄板ガラスの両側に電極を取付けた駆動装置を構成した.この実験装置では接触式の軸受を用いたが,支持部の剛性不足により面外振動が発生し十分なデータを取ることができず,片面より両面の駆動の方が駆動力が大きいという基本的な結果しか得られなかった.
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