研究概要 |
近年,高速リアルタイムビジョンシステムとして,センサと画像処理要素を画素毎に直結したものを1チップ上へ一体化した超並列・超高速ビジョンチップが注目されている.これは,従来のビジョンシステムの制限であるビデオ信号(30Hz)を大幅に越える速度で画像入力から処理までの一連の操作を可能とし,次世代の知能化センシングシステムとして,ロボット制御などの様々な分野で新たな応用技術を創出するものとして期待されている.研究代表者らは,このような考えをもとにプログラマブルな超並列・超高速ビジョンチップアーキテクチャを独自に開発し,その1チップデバイス化に成功した.また,これをマニピュレータやアクティブビジョンの制御に導入することにより,従来には実現不可能であった高速な対象追跡や障害物回避などの具体的タスクを実現し,高速なビジュアルフィードバックの有効性を実証している.本研究では,これらの研究代表者の実績をもとに,独自に開発した超並列・超高速ビジョンを用いたマイクロオペレーションシステムを開発し,マイクロ世界で高速かつインテリジェントなビジュアルフィードバックを実現するために必要とされるアルゴリズム・制御理論を体系化することを目的とする. 平成10年度は,高速マイクロビジュアルフィードバックのシステム構築を行った.また,具体的なタスクとして,運動物体の視野固定を想定し,そのための認識,制御アルゴリズムを開発し,それらを用いた基礎実験を行った.具体的には,以下の研究を行った. 1. マイクロシステム用途の超並列・超高速ビジョンシステムの設計・開発を行った. 2. マイクロビジュアルフィードバックに用いるための高速アクチュエータの開発を行った. 3. 構築したシステム上で,マイクロビジュアルフィードバックの基礎的な実験を行うことで,システムの性能評価と挙動解析を行った. 4. マイクロ世界に対応した対象追跡アルゴリズムと,それに基づいたアクティブセンシング手法を開発し,その動作を確認するための基礎実験を行った. 5. 運動物体のための視野固定制御アルゴリズムを開発し,それを用いた基礎実験を行った.
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