研究概要 |
仮想空間内において,視覚および聴覚からの情報のみでなく物体や環境から受ける反力まで体感することができれば,より臨場感のある体験をすることができる.また,忠実に力の感覚を与えることができれば,各種仮想訓練における効果を飛躍的に向上させることができる.このように,力覚提示は人工現実感における重要な要素技術の一つであるが,適当なアクチュエータが存在しないため,現在その開発は非常に遅れている.本研究では,最近開発が進んでいるER流体を力覚提示装置に応用する際に必要となる各種技術について検討を行った.ER流体は,そのレオロジー特性が電界の強さによって変化し,その変化が大きく瞬間的でかつ可逆的である流体である. 平成10年度に得られた成果は,以下のとおりである. (1) 力覚提示に最適なERアクチュエータの開発を行い,その制御方式を確立した. (2) ERアクチュエータを用いたアクティブ型の力覚提示システムを開発した.開発したシステムにより,抵抗感なく自由に空間を運動している状態や硬い壁などが表現できることを確認した.力覚提示システムの制御方式としては,力センサを用いず,位置センサのみを用いる方法を採用した.ただし,力覚がどの程度忠実に提示されているかを評価するため,操作部には力センサを取り付けた. (3) 出力軸側の構造材として複合材料であるCFRPを用い,出力軸側の慣性が非常に低く,しかも大きなトルクが発生できるアクチュエータを開発し,基礎実験を行った. (4) 力覚提示を目指した流体材料の開発および電極形状の最適化を行い,力覚提示システムの性能が大きく向上した.
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