研究概要 |
光トラップ法と光造形法を用いたマイクロ構造物の製作方法を確立するための基礎的な研究を行い、製作した構造物のレーザ駆動を試みた。研究経過および成果は4段階に分割できる。 1.光トラップと光造形を共有する光学系の構築 光トラップには2台のYAGレーザ(波長1064nm,500mW)を、光造形にはHe-Cdレーザ(波長325nm,20mW)を用いる光学系を構築した。二本の手のように自由にマイクロ構造物を運搬・固定することができ、また、任意の点で光造形することができる。顕微鏡下で操作し、ディジタルカメラに記録することができる。 2.紫外線硬化樹脂液上での光トラップ 紫外線硬化樹脂液上に微小球を載せ、光トラップすることにより以下のマイクロ構造物を製作した。 (1)スライドグラス上に鉛直に伸びた円柱へ微小球を固定することができた。球レンズのマイクロ光学系の構築に有効である。 (2)光ファイバ先端へ微小球を固定することができた。光ファイバへの光の入射効率をあげることに有効である。 3.紫外線硬化樹脂の液滴の光トラップ 微小な紫外線硬化樹脂の液滴そのものを光トラップすることに成功し、マイクロ構造物の接合にこれを接着剤として使用する手法を検証した。紫外線硬化樹脂を光トラップで固定し、これをポリスチレンラテックス球ではさむように光トラップで運搬・固定した。この状態で紫外線を照射し、ポリスチレンラテックス球同士を接着固定した。同様の手法で次々と連続してポリスチレンラテックス球を数珠玉状につなぐことができることを確認した。 4.レーザ駆動 連結したポリスチレンラテックス球を光トラップによりレーザ駆動できることを確認した。片持ち梁上に固定されたポリスチレンラテックス球を光熱効果によりレーザ駆動できることを確認した。シングルモード光ファイバ端の片持ち梁は光強度が弱く、駆動できなかった。 光トラップが二次元であるために、構造物の製作に制限があった。今後は、三次元トラップができる光学系を構築し、立体的な構造物を構築するシステムを確立したい。
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