研究概要 |
この研究では、太陽電池の表面に付着されている無反射膜に、希土類イオンをドープする事によって、太陽電池では利用されない短波長の光を希土類イオンに吸収させたあと長波長で発光させ、太陽光を太陽電池の分光感度の高い波長領域に変換させることで高効率化を試みている。平成10年度と11年度では、本学SVBL施設クリーンルーム内に設置してあるイオン注入装置(日新電機NHV-1014A、200KV max)を用いてa-Si太陽電池(サンヨー、AM-5205)の無反射膜(SiO_2)、そして機構解明の補助として熔融石英板(99.9%SiO_2),シリコン熱酸化膜への希土類Euイオン(4f^7)の注入を行ない、注入後レーザーアニール(YAG,1.064m,0.5J)を試み、Eu^<3+>(4f^6)、Tb^<3+>(4f^8)イオンの蛍光とESRによる欠陥の信号を得た。両イオンとも、900℃程度のアニールによって蛍光強度を強め、欠陥分減らすことができた。PLのアニール温度特性からイオン注入後の熱処理の温度で蛍光強度をある程度制御できることが分かった。半導体デバイス製造過程で用いられるイオン注入法による蛍光体の作成は、光集積回路などへの応用の可能性も広い。平成12年度では、a-Si(アモルファスシリコン)薄膜太陽電池の上に希土類イオンを、付着拡散もしくはイオン注入によって蛍光薄膜(厚さ;0.1-100μmオーダー)を形成させてその高効率化を目指した。研究は、大きく分けて(1)布織布浸透膜(2)ITO膜と窒化ケイ素膜の2項目の蛍光薄膜形成の課題からなる。(1)では、Euイオンの発光はみられるが、透過度の低下を補うだけの蛍光を得るためには、蛍光強度をさらに強める溶媒を選定する必要がある。(2)では、ESR測定で注入前、注入後、アニール後の各段階の試料すべてから、欠陥による信号が検出された。
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