研究分担者 |
中村 光一 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (10024283)
椚座 圭太郎 富山大学, 教育学部, 助教授 (30225180)
広岡 公夫 富山大学, 理学部, 教授 (30029467)
三宅 幸博 フランクリンジャパン社, 研究部長(研究職)
河崎 善一郎 大阪大学, 工学部, 助教授 (60126852)
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研究概要 |
雷撃電流に伴う強力な磁場により,周囲の大地が残留磁化を獲得する現象がある.本研究では,岩石磁気学の手法を用いて,雷撃電流による大地の帯磁現象と電流伝播推定の研究を行っている. (1)雷撃電流に伴う残留磁化は2つの機構が考えられる.主な機構は,磁石の直流磁場で磁性体が獲得する様な等温残留磁化であり,もう一つは、雷撃電流が落雷地点を加熱して生じる熱起源の熱残留磁化である.急加熱・急冷を受けて土壌が固化した雷管石は,冷却過程で熱残留磁化を獲得すると考えられる.雷管石試料を入手し、非破壊実験とテリエ法実験を行った結果,雷撃電流による昇温で熱残留磁化を獲得すると結論できた.試料には顕著な帯磁率異方性が生じており、これは雷管石の生成状況を探る情報となるので,引き続き研究を行っている. (2)パルス磁場による実験では,実験試料は、20μsの磁場変化に伴う磁化を明確に記憶した。磁場(電流)の継続時間(波尾長)が長い程,強い磁化を生じており、この様な短時間の磁場変化では、磁化の配向時間に影響があると分かった.この現象は物性論でも重要であり,さらに実験を行って検証する必要がある. (3)ロケット誘雷(鉄塔誘雷)の実験では,鉄塔周囲に設置した試料は北陸の冬季雷に特有な正極性の雷撃電流に伴う時計回りの磁化(磁場)分布を示した.磁化分布の調査から,埋設地線を伝播した雷撃電流は,塔脚から8.8mの遠方ではかなり減衰することが判明した. (4)栃木県氏家地域は夏季に落雷が多い。同地域で落雷を受けた水田土壌を調査した結果、落雷電流が近傍のU字溝へ移る現象などが、帯磁特性から検討できた。
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