研究分担者 |
中村 光一 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (10024283)
椚座 圭太郎 富山大学, 教育学部, 助教授 (30225180)
広岡 公夫 富山大学, 理学部, 教授 (30029467)
三宅 幸博 フラクリンジャパン社, 研究部長
河崎 善一郎 大阪大学, 工学部, 教授 (60126852)
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研究概要 |
雷撃電流に伴う強力な磁場により,周囲の大地が残留磁化を獲得する現象を用いて,大地の帯磁現象から雷撃電流の研究を行った. (1)落雷の多発地帯である栃木県氏家町の水田地域の調査をさらに進めた.ビデオで捉えられた1999年夏の落雷地点の窪んだ地形の周囲では,雷撃電流の化石としての残留磁化の特性は明確に認められた.大地内への電流伝播を調べるため,地下を掘って調査した結果,30cm深部まで電流は鉛直に潜り,周囲への漏れはあまり無かった.深部へいくにつれ電流経路がずれる傾向にあった. (2)同地域の雷撃は数回起きており,その1回は雷撃点から1m以上跳んで土手沿いのコンクリート材に流れコンクリートを破壊していた.熱膨張による破壊が考えられ,テリエ法実験で磁化への熱影響を調べた所,加熱の痕跡が認められ,600℃以上の高温になり冷却時に雷撃電流の磁場を記憶したことが判明した.北海道の岩見沢で見つかった自然の雷管石のテリェ法実験でも,加熱温度(<600℃)と熱履歴が検討できた.これらの結果は,雷の大地への影響を調べる際,被熱過程も考慮する必要性を示しており,残留磁化による雷研究の新たなテーマと考えられる. (3)さらに微細な雷撃電流の痕跡を磁化から復元するため,高温超伝導を利用する二次元磁場の解析装置HFD(Sakai et al.,1997)を用いた研究を行った.同装置による非破壊測定で,タイル上に記憶された磁化(電流)の微細構造を調べる手法を開発し,ロケット誘雷の雷撃電流を調査した.雷撃電流の分散に伴う磁力線分布が二次元で検討でき,オリジナルな研究方法として活用できると判明した.最近,同様な主旨の非破壊調査をHeller et al.(J.G.R,2001.3)が公表しており,本研究の結果も早急に公表化を予定している.
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