研究課題/領域番号 |
10555092
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
船木 和夫 九州大学, 工学部, 教授 (60091352)
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研究分担者 |
末廣 純也 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助教授 (70206382)
原 雅則 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 教授 (30039127)
柁川 一弘 九州大学, 工学部, 助手 (10294894)
岩熊 成卓 九州大学, 工学部, 助教授 (30176531)
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キーワード | 超伝導変圧器 / 高温超伝導体 / 地下変電所 / Bi2223 / 液体窒素 / 過冷却液体窒素 / 交流損失 |
研究概要 |
本研究は、都市部地下変電所内変圧器を酸化物超伝導装置の特長である小型・軽量化、低コスト化、不燃化等を最も有効に利用できる当面のターゲットとして設定し、地下変電所に設置可能な酸化物超伝導変圧器に必要となる基盤技術のうち、特に超伝導巻線の大電流容量化と高電圧化技術の確率を目指している。 本年度は、既に製作した500kVA液体窒素冷却酸化物超伝導変圧器の特性試験結果を見直し、大容量器開発のための問題点及び開発項目を整理し、まずビスマス系銀シース線の基礎電磁現象(電流電圧特性、交流損失特性等)の定量的評価の確率とそれに基づく大電流容量並列導体の構成法の検討、超伝導導体のクエンチ時の飽和及び過冷却液体窒素中での気泡形成条件の評価と耐電圧対策の検討、超伝導変圧器の系統内での運用法の検討を行った。その結果として以下のような成果を得た。 (1) ビスマス系超伝導多芯線材は、当初、ツイストの有無によらずフィラメント同士の接触等により単芯線的電磁特性を示したが、ツイスト加工、伸線工程等の改善により、真の多芯線的電磁特性(低交流損失性)に近づきつつある。しかしながら、フィラメント内の結晶粒、もしくは結晶粒がいくつか集まった局所的ループにおいて誘起される遮蔽電流がもたらす交流損失がフィラメントの履歴損失より大きく、線材の低損失化には結晶粒の配向性、粒界面の改善が不可欠であることを明らかにした。 (2) ビスマス系超伝導多芯線材を用いた並列導体において転位位置が最適位置からずれた場合の導体化に伴う付加的交流損失について検討し、定量的評価式を導出した。 (3) 巻線のクエンチを想定し、コイル状ヒータ電極を用いて飽和液体窒素中における気泡の形成、成長に電界がどのような影響を与えるかを観測し、気泡の挙動をグラデイエント力と浮力等を用いて記述する半定量的評価式を導出して、飽和液体窒素中における気泡の有無(発熱量)、空隙の寸法(電極形状)等と絶縁耐力の相関関係を明らかにした。 (4) 励磁突流、短絡電流等の臨界電流以上の過大電流に対するビスマス系超伝導線材の応答特性を実験的に把握した。 次年度以降も、本年度の成果を踏まえてさらに標記導体の開発研究を遂行する。
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