研究概要 |
9.研究実績の概要 本研究では,水中気泡内放電によってオゾン生成を行ない,その放電特性と気相オゾン生成特性を関連づけることを行った.その結果以下のことが明らかになった.(1)原料ガス流量の変化によって,電流波形に見られた変化は,気泡内放電の影響によるものであった.パルス電圧が印加されてから約106ns以降に気泡内放電が発生した.(2)電圧及び電流の波形よりエネルギーの計算を行ない,気泡の有無によるエネルギー差より,気泡内放電のエネルギーを算出した.原料ガス流量と気泡内放電のエネルギーの関係は線形的であった.(3)放電繰り返し周波数及び原料ガス流量を増加するとオゾン濃度が増加した.放電繰り返し周波数150pps,原料ガス流量0.3l/min,印加電圧22kV(ピーク値)の時に約6.42g/Nm^3のオゾン濃度を検出した.(4)単位ガス流量あたりの放電電力(電力密度)に対するオゾン濃度は,比例した関係となった.また,各流量とともにオゾン収率はほぼ一定となり,その値は約64.2g/kWhであった.(5)水中気泡内放電による水中の溶存オゾン濃度及び水中に溶けないで水面上に排出してくるオゾン濃度(即ち排オゾン)を測定することにより,間接的にO原子の生成が確認された.(6)水中気泡内放電の発光測定によりOHラジカルの生成も確かめられた.(7)これらの実験をもとに,染料として一般的に知られているインジゴカルミンの水溶液を処理対象水として用い,水中気泡内放電による脱色実験を行った.インジゴ溶液の吸光度スペクトルの水中気泡内放電による時間変化を調べた.吸光度のピークは612nmにあり,このピークは放電時間の経過とともに減少し,また,目視による明確な色の変化も確認された.これらのことから水中気泡内放電によってオゾンなどの活性種により脱色処理が行われていることが確かめられた.
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