研究課題/領域番号 |
10555096
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
陽 完治 北海道大学, 量子界面エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
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研究分担者 |
矢野 和男 日立製鉄所, 中央研究所・システムLSI研究室, 主任研究員
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (10183097)
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キーワード | 自然形成InAs量子ドット / 単電子デバイス / 量子ドット / 擬1次元トランジスタ構造 / 超高感度受光素子 / 帯電効果 / 自己組織化 / 超高感度センサー |
研究概要 |
量子ドットの帯電効果を用いた量子効果デバイスとしては、半導体メモリなどの応用の可能性の他に高感度赤外線が非常に有望であるため超高感度受光素子の実現を目指してその基礎の確立に向けて研究を進めている。今年度は、特に化合物半導体系で原理的な基礎検討を行った。 (1)自然形成による量子ドットにおいても避けられないサイズのばらつきに起因するドット中の量子準位な揺らぎが与える受光素子に与える影響をしらべるため、まず作製条件によりドット中の電子のエネルギー準位をいかに制御できるかの知見をトンネル分光法により明らかにした。このことは研究分担者の平川助教授のグループの遠赤外光吸収の実験とも結果の一致をみた。 (2)微細加工と自己組織化を組み合わせて量子ドットの帯電効果が擬1次元トランジスタ構造 を流れる電流で高精度に観測できるデバイス構造において、ゲート電圧のバイアス条件を変えると低電流の極限の単電子動作モードからメモリモードへ移行することについての知見を得た。 (3)今まで実績のあった、1トランジスタあたり数個の量子ドットを埋め込んだ素子構造においては、入射光と高々数個の量子ドット中の電子との間の散乱断面積が小さいと予想されることが最大の懸念であった。今回、散乱断面積を大幅に増加させるため、素子あたり10,000個程度の量子ドットを埋め込んだ構造を作製し、本構造で十分にドットの平均的電子状態に敏感な素子を得た。ドットの平均的帯電状態に敏感な素子構造のため、初期的結果ながらドット中の電子の殻構造をこのようなトランジスタ構造で初めて観測した。
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