研究課題/領域番号 |
10555101
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小長井 誠 東京工業大学, 工学部, 教授 (40111653)
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研究分担者 |
白樫 淳一 電子技術総合研究所, 電子デバイス部, 研究官(研究職)
岡本 保 東京工業大学, 量子効果エレクトロニクス研究センター, 助手 (80233378)
山田 明 東京工業大学, 工学部, 助教授 (40220363)
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キーワード | ガリウム・ヒ素 / III-V族化合物半導体 / 単一正孔トランジスタ / 原子間力顕微鏡 / ナノ加工 |
研究概要 |
本研究では、原子間力顕微鏡(AFM)の極微細加工ツールとしての一面に注目し、AFM陽極酸化を用いたメタリックp形GaAsのナノメートルオーダーの加工を行った。 AFM陽極酸化とは、AFM探針(AFM tip)を大気中で陰極として用い、絶縁性基板上に堆積された金属または半導体の薄膜とAFM tipとの間にバイアス電圧を印加することにより、大気中の水分を介した電気化学反応を起こして薄膜表面上に極微細領域の選択酸化を行う手法である。これはすなわち、エッチングなどのプロセスを必要とせずに直接的なリソグラフィーが可能であることを意味している。 本研究で用いたサンプルは、有機金属分子線エピタキシー法を用いて成長したカーボンドープp形GaAs(正孔濃度10^<20>cm^<-3>以上)である。このサンプルは、ある程度の平面平坦性を維持したまま高濃度ドーピングが可能であるという特徴を有しており、AFMを用いた陽極酸化およびデバイス応用に適している。 実験は、AFM装置にバイアス電圧源としてパラメータアナライザを組み合わせて行った。AFM tipは、一辺4μmのピラミッド形をしたSi_3N_4にAuをコーティングしたものを使用した。実験の結果、バイアス電圧とAFM tipの走査速度を変化させることにより、サンプル薄膜上に酸化物細線を制御性良く作製できることが明らかとなった。また、この酸化物が、純水によって容易にエッチングされることを確認した。さらに、走査形電子顕微鏡による電子ビーム励起堆積法を用いてアモルファスカーボンを堆積させた、曲率の小さなAFM tipを新たに考案した。このAFM tipをAFM陽極酸化に用いることにより、酸化物細線作製時のバイアス電圧のしきい値が低くなり、線幅がより小さい細線を作製することに成功した。最小線幅はp形GaAsで10nmとなった。
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