研究課題/領域番号 |
10555102
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
森迫 昭光 信州大学, 工学部, 教授 (20115380)
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研究分担者 |
武井 重人 信州大学, 工学部, 助手 (50262689)
松本 光功 信州大学, 工学部, 教授 (80020981)
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キーワード | 磁気記録 / 超高密度記録 / 酸化物薄膜 / スパッタ / 薄膜媒体 / 垂直記録 / フェライト薄膜 / 微粒子薄膜 |
研究概要 |
本研究では、六方晶フェライト薄膜の超高密度磁気記録媒体への応用を目的としている。具体的には、バリウムフェライトやストロントウムフェライト薄膜に注目し、その低温・高速形成をねらっており、しかも低雑音で超高密度磁気記録媒体として適用可能な微粒子薄膜の形成を目的としている。これまで、粗大粒子の形成を阻害するために結晶化温度の低下に関する実験を行ってきたが、純粋な構成元素のみでは、結晶化温度の低下には限界があること、しかも粒子の成長を抑制することは極めて困難であることが次第に明らかになってきた。そこで、鉄、酸素、バリウムの構成元素のほかに添加元素の検討を行った。現在、この添加元素の選択の検討を詳細に行っているところであるが、成果から、ビスマスを微量添加する方法がバリウムフェライト薄膜の結晶化温度を低下させるのに有効であることを見いだしている。しかも本研究で目的としている微粒子構造の薄膜が形成されることが明らかになっている。六方晶フェライト薄膜は基板加熱を施さずに室温で高速形成を行っている。その後、高真空まで排気可能な赤外線加熱装置を用いて各種雰囲気ガス中での高速熱処理による結晶粒子の成長を抑制する検討も行っている。現在熱処理時間と得られる薄膜の構造に関する検討を行っているが、極く短時間の加熱で80nmの微粒子構造を有するバリウムフェライト薄膜が形成されている。しかも粒子間の磁気的な結合が弱められた、すなわち高保磁力の薄膜が形成されつつある。ストロンチウムフェライト薄膜では添加元素にCrを用いた場合、その結晶化温度の低減効果と磁化容易軸であるc軸の基板面に対する垂直配向が著しく促進されることが明らかになった。しかしながら、ストロンチウムフェライト薄膜の粒子サイズは大きく今後より微細化の研究が必要である。 バリウムフェライト薄膜に関しては実際の磁気ディスクを作製し、その電磁変換特性を評価した結果、記録密度はD50で230kfriであり、記録可能な最大の密度は300kbpi程度と超高密度記録が可能であることが明らかになっている。
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