研究課題/領域番号 |
10555103
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
澤木 宜彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70023330)
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研究分担者 |
鈴木 孝昌 株式会社デンソー, 基礎研究所, 担当部員
山口 雅史 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (20273261)
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キーワード | 結合量子井戸 / 光非線形性 / 光変調 / フェムト秒分光 / トンネル効果 / ポンプ・プローブ法 / 電子・正孔対 / 準位共鳴 |
研究概要 |
高速性・集積性・高感度が期待されている量子井戸構造を用いた新しい電子・光素子の開発を目標として,井戸幅の異なる三つの量子井戸を有する結合量子井戸構造における電子準位の共鳴・非共鳴現象が光学定数の変化に及ぼす効果、特に、波長依存性、応答速度を明らかにすることを目的としている。試料としては、近赤外領域の応用を考慮しGaAs/AlGaAs系量子井戸構造を取り上げ、フェムト秒分光法を適用して、サブピコ秒領域にいたる光応答を評価し、以下の成果を得た。 1.三重量子井戸構造の透過光強度の入射光強度依存性には、量子井戸内の電子遷移による効果(速い応答)と試料の温度上昇による熱的効果(遅い応答)とがあることを明らかにした。 2.速い成分は、フェムト秒の光に対して応答する成分である。立ち上がりはサブピコ秒から数ピコ秒の範囲であり波長と励起強度に強く依存する。立ち下がりは、注入された電子・正孔の寿命により決まり、ナノ秒のオーダーであった。本素子は、超高速の光応答として応用可能であることが明らかになった。 3.遅い成分は、直流の励起光に対して非線形に応答する成分である。直流入力にもかかわらず弛緩発振しその周期は秒のオーダーである。本構造は、薄膜による非線形発振光素子(変調器)として応用が可能であることが分かった。 4.光応答は、透過光、反射光の双方に見られ、強い波長依存性があった。今後、共鳴を引き起こす波長における光応答の構造依存性を評価し、波長選択制の精密評価を行う予定である。
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