研究課題/領域番号 |
10555106
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
藤原 賢三 九州工業大学, 工学部, 教授 (90243980)
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研究分担者 |
佐藤 和郎 九州工業大学, 工学部, 助手 (30315163)
川島 健児 九州工業大学, 工学部, 助教授 (50284584)
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キーワード | 半導体超格子 / 光電流スペクトル / 走査型トンネル電子顕微鏡 / 共鳴励起 / 光生成キャリア / トンネル電流 / GaAs / ピエゾ素子 |
研究概要 |
本研究の目的は、半導体超格子における微小(ナノメートル)領域での光電流分光法を確立することであり、このために本年度は、(1)探針走査装置の改良、(2)半導体超格子を含むヘテロ構造試料における光応答特性の測定を行い、下記の成果を得た。 (1)探針走査部の要素技術として、昨年度は試料-探針間距離に重点を置いて装置の構築を行ったが、本年度は、数100μmの半導体試料から超格子を含むμm以下のヘテロ接合部の検出を行うための、広域粗動走査機能と局所微動走査機構を付加する改良を行った。改良した装置は、数十nm/1ステップの精度で400μm以上の広域走査性能を持ち、500nm^2の領域を微動走査できる。この結果、半導体へテロ接合部の捜索と超格子の検出が可能になった。 (2)上記探針走査装置にGaAs/AlAs半導体超格子のへき開試料を取り付け、波長785nmのレーザ光照射により、超格子を含むアンドープ半絶縁層からのトンネル電流の増加を実証した。一方この波長ではキャリアが励起されないクラッド層では光応答が無いことを確認した。なお、半絶縁性超格子層、及びクラッド層のいずれも励起できない860nmのレーザを高出力で照射した場合は、熱効果によって両領域において同等にトンネル電流が増加することを確認した。次に、前試料に比較して量子井戸及び障壁が厚いInGaAs/AlGaAs試料に対して同様の実験を行い、超格子領域においては、光照射強度の増加にともない超格子周期に対応すると考えられる周期的構造を持った2次元光電流像を検出した。 以上の結果より、本研究の目的である、微小領域からの光電流応答測定に関する原理の実証と装置の試作を達成できたと考える。
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