研究概要 |
本研究では,代表者八木とクボタが共同で開発したアモルファス粉末成形体を用いて電気自動車非接触充電トランス磁心の開発するために材料,回路の両面で検討することを目的として,平成10年度に開始した。 磁心材料の作製はホッとプレス(熱間加圧成形)法を用いたが,アモルファス合金粉末の表面を低軟化点ガラスでコーティングする複合化処理を新たに開発し,この方法で処理した粉末を結晶化温度以下の比較的高温で成形した。その結果,アモルファスの良好な軟磁性と粉末粒子間の高い絶縁と90-95%の高い相対密度を同時に実現することができ,商用のセンダスト系紛体磁心やギャップ付きフェライト磁心に比べ,同等の透磁率を有し20-30%低損失の優れた特性を達成した。 一方,非接触トランス用磁心の検討では,電気自動車の非接触の自動充電システムで提案されている小形のポット型コアを成形試作し,1次側と2次側コアにギャップを設けた場合の高周波磁気特性を検討を行った結果,両者のギャップを大きくするとほぼ同一寸法・形状の商用のMn-Zn系フェライトと同等の透磁率とフェライトに比べ10%以上低損失の特性が得られることを明らかにした。 さらに,DC-DCコンバータによる実回路試験を動作周波数100kHzで行い,300〜500W以上の高出力になるとギャップ付きフェライト並びにセンダストに比べ高い変換効率が得られること,磁心の小型化も可能なことなどを実証した。 本研究で当初計画した電気自動車充電用の実際の検討は,2-3kW程度の大形磁心の作製が現時点ではまだ困難であることと,当初の研究分担者・杉森氏の所属会社の企業内事情で回路試験が行えなかったが、以上述べたよう本研究で開発したアモルファス粉末成形磁心は,将来,電気自動車の非接触充電用トランスとして適用できる可能性が十分あると考えている。
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