研究概要 |
窒化炭素(Carbon Nitride以下CN)の中でも,β-C_3N_4はダイヤモンドを凌ぐ超高硬度材料であるとの発表もあり,タイヤモンドあるいはダイヤモンドライクカーボンまたは立方晶窒化ボロンに次ぐ高硬度エンジニアリング材料として注目されている。CN薄膜作製法としてはプラズマCVD法やスパッタリング法など各種の方法が報告されているが,薄膜の組成制御,結晶性,密着性等の問題があり,解決すべき課題を多く残している。 本研究ではCN、薄膜作製法としてパルスYAGレーザデポジション装置にイオン源及び高周波(または直流)バイアスを付加した新方式を提案し,Si(100)基板及びWC-5%Co上にCN薄膜の作製を行った。ターゲットにカーボン(純度99.999%)を用い,パルスレーザの繰り返し率を10Hzとし,各種パルスレーザアブレーション条件を変化し実験を行い,堆積した薄膜特性を調べた。薄膜特性分析には,オージェ電子分光分析装置,X線光電子分光分析装置,薄膜X線回折装置,走査電子顕微鏡,電子線マイクロアナライザ,フーリエ変換型赤外分光分析装置やラマン分光分析装置を用いた。その結果,CN薄膜作製に直流バイアス電圧が有効であることを明らかにした。また,CN薄膜の組成と基板温度の影響について明らかにした。さらに,CNプラズマプルームからの発光スペクトルを分光分析し,発光種を同定し,CN薄膜特性とプラズマ特性の関係について検討した。CNナノチューブ作製条件やイオン照射がCN薄膜特性に及ぼす影響についても検討した。その他の高硬度機能性材料としてCrC,WC,cBN,SiC,SiN,TiC,TiN,TaN薄膜作製についても検討し,CN薄膜作製プロセスと比較検討した。研究成果の一部をJpn.J.Appl.Phys.,BANPIS2000,ISSS3,Nanostructure Phys.,プラズマプロセス研究会,電気関係学会九州支部連合大会,応用物理学会九州支部大会等で発表した。
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