研究概要 |
本年度は,弾性表面波デバイスに適したKNbO_3単結晶の育成と薄膜の作製、材料評価、非線形圧電定数の測定,及びSAWの伝搬特性の解析と実験を行った。 (1) KNbO_3単結晶の育成及び圧電性薄膜の製作の研究を行った。単結晶の育成では,約10mm角の透明な結晶を得ることができ,SAWの送受を確認した。また,MOCVD法により作製されたKNbO_3薄膜はas-grownで圧電性を有しSAWを励振できることが分かった。 (2) 研究者らが提案している走査型非線形誘電率顕微鏡を用いて、(1)で作製した単結晶及び薄膜のドメイン及び物性を評価した。特に,薄膜の評価では,as-grownの状態で分極が基板の上向きにそろっていることがわかった。また,分極分布とSAWの励振特性を対応させて評価し,非線形誘電率顕微鏡による評価方法がSAW材料の評価にも適用できることを確認した。非線形誘電率顕微鏡による材料評価を薄膜・単結晶作製にフィードバックし,より高品質な材料作製の研究を行う予定である。 (3) コンボルバへの応用を目的に,KNbO_3単結晶の非線形圧電定数の評価を行った。これによりe_<355>が大きいことがわかり,効率の高いコンボルバが得られることがわかった。 (4) X,Y,Zカット及び回転Yカット,回転Xカットのそれぞれについて,SAW及びリーキ一SAWの理論解析を行った。 (5) KNbO_3単結晶を用いて帯域幅17%の広帯域のSAWフィルタを得た。
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