研究課題/領域番号 |
10555116
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
大矢 銀一郎 宇都宮大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00006280)
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研究分担者 |
入江 晃亘 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (90241843)
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キーワード | 高温超伝導体 / Bi_2Sr_2CaCu_2O_y / 単結晶 / 固有ジョセフソン接合 / 自然超格子 / 磁束量子 / ボルテックス・フロー / 高周波発振 |
研究概要 |
本研究は、層状酸化物高温超伝導体Bi_2Sr_2CaCu_2O_y単結晶における、CuO_2超伝導層がBiO/SrO絶縁層と原子層スケールで交互に自然積層し、ジョセフソン結合することによる固有ジョセフソン接合超格子を用いた(チューナブル)発振素子を試作し、その電子(正孔)波および量子波励起モードに対する外部からの制御方法を詳細に検討することで、高温で安定に動作しうるGHz〜THz帯チューナブル発振素子を開発し、その発振特性を明確にすると共に、制御法を確立することが目的である。 本最終年度は以下の研究成果を得た。 1.室温(300K)より4.2Kまで冷却可能な小型冷凍機を用いた発振素子駆動・測定系を構成した。 2.上記の単結晶(超伝導転移温度:〜85K)より発振素子として矩形メサを試作して、その基本動作である固有ジョセフソン接合超格子における磁束量子(ジョセフソン・ボルテックス)のコヒーレント運動を観測した。その結果、4.2Kでは、磁束量子(波)は同接合内に生ずる電磁波の最高位相速度にほぼ対応する(1-5)×10^6m/sの高速度で運動することを見出した。一方、77Kにおいても同様な安定動作を確認できた。しかし、磁束量子(波)の高速度運動は接合数が20以下の場合に限られ、その速度は接合数が20以上の場合には接合数の増加と共に減少することが観測された。 3.矩形メサの磁束量子(波)の高速度運動により発生する高周波は、印加磁界により周波数をほぼ比例的に増加する制御ができ、0.16Tの印加磁界によって80GHzの高周波の発生を確認できた。このようにして、同メサにおける外部磁界制御によるチューナブル高周波発振素子としての動作を明確にした。 4.矩形メサに電流パルスを直接印加することによっても、固有ジョセフソン接合超格子(の電子(正孔)波)にコヒーレント動作を励起でき、これによる数十GHz-THz超高周波発振の可能性を確認した。
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