研究分担者 |
藤島 実 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (60251352)
桜井 貴康 東京大学, 国際・産学共同研究センター, 教授 (90282590)
柴田 直 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (00187402)
池田 隆英 (株)日立製作所, デバイス開発センター, (研究職)副技師長
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研究概要 |
本研究は,MOSFETをスケーリングしたときに発生する諸問題を,量子効果を積極的に利用して回避し,さらに特性向上とばらつき低減を達成することである.これまでに,極めて細いチャネルをもつMOSFETにおいて,量子効果によるしきい値電圧の上昇を室温において観測することに成功しているが,本年度は追試実験と追加シミュレーションを行い,さらに精密なデータを取得して量子効果の影響を詳しく調べた.実験では,量子力学的効果を顕著にするため,膜厚方向だけでなく,横方向にも電子を閉じこめるため,極めてチャネル幅の狭いMOSFETを異方性エッチングを用いて作製した.チャネル幅は2nm程度から100nm程度まで変化させた.本年度は,チャネルの結晶方位を変えるとともに,NMOSのみならずPMOSデバイスも試作し,量子効果の面方位依存性とキャリア依存性を調べた.NMOS,PMOSとも,チャネル幅が10nm以下になると急激に上昇する.これらの実験事実を説明するため,有限要素法を用いて2次元シュレディンガー方程式を解き,チャネル中の電子および正孔の基底状態を計算したところ,しきい値電圧の上昇は量子閉じこめ効果による基底準位の上昇が原因であることが明らかとなった.以上により,線幅が10nm以下の極微細MOSFETでは,室温においても量子効果が特性に直接影響を及ぼすことが明らかとなった.また,この効果を積極的に利用することでしきい値電圧等の制御が行うことが可能である.その方法と可能性について検討を行った.
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