研究概要 |
本年度は,センサの薄膜化の最終的な作製技術の確立と自動計測システムの作製を行った.以下に本年度の主な研究成果を示す. ・本年度交付された「ターゲット作製用自動乳鉢」を用いてMn_<1-X>Zn_XFe_2O_4系に加えてNi_<1-X>Zn_XFe_2O_4系,Cu_<1-X>Zn_XFe_2O_4系の食品識別用薄膜センサ素子を作製した.また,作製された薄膜のアニーリングエ程を適宜調節することで異なる電気的特性を示す薄膜を試作し,様々な飲料に対して広く対応できる可能性を確認した. ・センサリード(Ag電極)部の保護膜に関して検討した.エポキシ等の樹脂系接着剤は取り扱いが容易ではあるものの長期間に渡る連続使用には不向きであった.現在,SiO_2等の保護膜を検討中である. ・これまで,飲料の識別データとして,試料溶液にセンサを浸して出力が安定した点を採用していたが,センサを味が極端に異なる試料に投入した場合に安定点に達するまでに10分程度必要であった.これはセンサの膜内電位が安定化するために必要な時間と考えられる.そこで,センサの表面電位は比較的早く変化することに着目し,センサの膜内電位が変化する前にセンサを試料から引き上げることで,計測時間を数十秒に(サンプリング時間を5秒とし,信頼性向上のため同一試料で複数回計測)短縮できた. ・複数の試料を自動で評価できる自動計測システムを試作した.ターンテーブルやスライダ等を組合せ,最大4種類の試料を安定に識別できる装置を作製し,実際に複数の試料(ワイン,ミネラルウォータ,茶類等)を繰り返し評価したところ安定に識別できた.
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