研究概要 |
すでに開発した計測システムを改良し、後壁も含めて広い範囲にわたる心臓壁上の微小運動速度と、動脈壁の微小な厚み変化の高精度計測を可能とするとともに,その計測装置を東北大学附属病院で実際の被験者に適用し,この全く新しい循環器系の定量的計測診断法が,臨床応用可能な心筋のviabilityの評価手法と、動脈硬化の新しい診断手法となる見通しをつけた。 (1) 診断システムの改良 水槽実験などにより診断システムの処理の詳細にわたる検討・精度評価の結果を基に診断システムの改良を行った. (2) 循環器疾患の患者への適用 東北大学附属病院第一内科において,上記で構築した診断システムを用いて,循環器疾患の患者の心臓壁・動脈壁の微小振動を計測した. (3) 循環器疾患の診断基準の検討 計測収集した振動データを解析して,患者と正常者の心筋の弾性特性の差異を詳細に比較し,心周期各時相における心筋伸縮特性の変化をもとに,診断に重要となる特徴量を決め,従来にはない全く新しい循環器系の定量的精密計測診断法としての見通しをたてた。また、動脈硬化に関しては、血管拡張薬であるニトログリセリン投与後の血管内径の変化・壁の厚み変化の過渡応答を高精度に計測することによって、従来は不可能であった、内皮依存性・非依存性血管反応性の同時評価が本計測システムによって可能になることを示した。 (4)総合評価・総括・実用化 以上の結果をまとめて本研究を総括し,現在実用化を進めている. 以上、本研究者によって新たに開発された手法とシステムによって、心臓壁心筋の伸縮特性に基づく厚み変化の局所ごとの評価が可能になるとともに、計測システムのリアルタイム性によって、内皮依存性・非依存性両者の血管反応性の評価が可能となった。これらは、今後の循環器疾患の診断において重要な意味をもつものと期待される。
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